本研究は、社会的ネットワークのサイズの観点から、人間の大規模な協力社会を支える基礎的な心理メカニズムを明らかにすることを目的とした。第1に、個人を取り巻く社会的ネットワークは、コミュニティに構造化されており、そこには大きな個人差があることを明らかにした。第2に、その個人差を説明する要因として、「対個人」「対集団」の社会的認知機能を測定する課題を開発し、ネットワーク指標との関連を検討した。その結果、「対個人」の社会的認知機能は、大規模な社会的ネットワークの基盤として機能していない可能性が示唆された。ただし、「対集団」の社会的認知機能と社会的ネットワークについては明確な関連が示されなかった。
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