2017年に成立したわが国の民法改正法では、請負の瑕疵担保責任に関する規定が売買の包括準用となり、従来の学説及び裁判例上の理論がいかなる影響を受けるのかという問題が生じる。一方、ドイツにおいても、債務不履行の一般規定と瑕疵責任規定との適用の関係について、激しく議論されている。 ドイツにおいては、請負人が先履行義務を負い、さらに、請負の仕事が、売買とは異なり個々の特性をもって製作されるという特徴を考慮して、請負に特殊な「引取り(Abnahme)」概念が重要な機能を有していることを指摘した。この概念は、当事者双方の利益を保護し、注文者と請負人との関係を整序するものといえる。
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