研究課題/領域番号 |
17H07261
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
乾 志帆子 大阪医科大学, 医学部, 非常勤医師 (90807695)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | チタンメッシュ / SLM / 骨再生 |
研究実績の概要 |
腫瘍や外傷で生じる組織欠損、特に支持組織である骨欠損は、運動障害や整容性障害など社会復帰に大きな影響を与える。骨欠損の再建には、患者自身の自家骨と再建用金属プレートを用いて再建手術を行うのが一般的であるが、採取できる骨量の限界、採取部位の二次的損傷や感染のリスクが問題となる。 この問題を解決するためには、ハイドロキシアパタイトなどの人工骨使用が考えられるが、強度不足や術後感染の問題、骨欠損部へ適合させることの困難さなどがあり、理想的な人工骨はいまだ確立されていない。この研究では、CT/DICOM データを基に 0.03mm 厚で立体造形可能な選択的レーザー溶融法(以下 SLM 法)を用いて、いかなる形態の骨欠損部にも適合可能な造形チタン人工骨を作製、さらに世界初の骨再生能を持つ表面処理を施した生体活性型チタン人工骨の開発を行い実用化に向近年、CT/DICOM データを基に金属を溶かす熱源にレーザー光を採用した 0.03mm 厚でチタン人工骨の立体造形が可能である積層造形法(Selective Laser Melting:以下 SLM 法)を用いて、いかなる形態の骨欠損部にも適合可能な自由造形チタン人工骨を作製する技術が可能になり埋め込み型人工骨という新しい概念の人工骨の骨再建への応用が期待されている。 11週齢のSprague-Rats(雄)を用いて、ラットの頭蓋骨に組織欠損を作成した。全身麻酔下に頭蓋骨に作製した人工骨欠損に人工骨を埋入を行った。埋植後、マイクロCT観察を行い、術後4、8週後に摘出し、骨再生評価を行ったところ、人工骨を埋入したものは、埋入しなかったものと比較して有意に骨再生が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全身麻酔下に頭蓋骨に作製した人工骨欠損にあらかじめ用意した表面を生体活性処理したチタン人工骨を埋植する前実験として、臨床にて用いられている人工骨を用いた骨再生能の評価を、11週齢のSprague-Rats(雄)を用いて、ラットの頭蓋骨に骨欠損部を作成し、人工骨を埋入した。その後、埋入4週、8週で頭蓋骨を採取し、CT撮影、組織切片の染色にて行った。それにより人工骨を入れた場合と、入れなかった場合の差を確認し、人工骨を入れた時のほうが骨再生が有意にみられることを確認した。これによって選択的レーザー溶融法(SLM法)にて作成したチタンメッシュを骨欠損部に埋入した時との差を見ることができると考える。
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今後の研究の推進方策 |
11週齢のSprague-Rats(雄)35匹を用いる。全身麻酔下に頭蓋骨に作製した人工骨欠損にあらかじめ用意した表面を生体活性処理したチタン人工骨を埋植する。埋植後、2日間間隔で、マイクロCT観察を行い、術後2、4、7週後に摘出し、適合性試験、機械的強度試験、骨形成能評価を行う。 また、同時に、選択的レーザー溶融法(SLM法)にて作成したチタンメッシュの生体内での安全性を評価を、肉眼的および顕微鏡にて行い、炎症所見の有無を判断する。それによって、実際に安全に臨床応用できるように評価を行う。
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