研究課題/領域番号 |
17H07269
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研究機関 | 大阪薬科大学 |
研究代表者 |
加藤 巧馬 大阪薬科大学, 薬学部, 助手(移行) (20805296)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 膜透過性ペプチド / ドラッグデリバリーシステム / 非天然型アミノ酸 / 有機化学 / 薬学 |
研究実績の概要 |
側鎖に塩基性官能基を有する環状ジ置換アミノ酸の合成ならびにその含有ペプチドの合成と含ホウ素蛍光標識化合物の合成並びに構造解析を行った。 側鎖に塩基性官能基を有する環状ジ置換アミノ酸の合成:膜透過に有利に働くとされる塩基性官能基としてアミノ基ないしグアニジノ基を有し、側鎖が環状構造を取っている新規ジ置換アミノ酸を合成した。具体的には、環状側鎖上にアミノ基を2つ有する五員環状ジ置換アミノ酸を2種類と、グアニジノ基を2つ有する五員環状ジ置換アミノ酸を1種類、アミノ基を1つ有する六員環状ジ置換アミノ酸を2種類の、計5種類のアミノ酸を合成した。各アミノ酸は固相法によるペプチド合成利用するため、N末端側がFmoc保護され、側鎖の塩基性官能基も適切な形で保護された形のものを作成した。 ジ置換アミノ酸を含有するペプチドの合成:新たに作成したジ置換アミノ酸と、膜透過性に重要な役割を果たすことが指摘されているアルギニンを組み合わせて、Fmoc固相合成法により膜透過性ペプチドを作成した。環状側鎖上にグアニジノ基を2つ有する五員環状ジ置換アミノ酸を含有するペプチドに関しては、側鎖構造の嵩高さによりFmoc固相合成法では目的とするペプチドを合成することは困難であった。その他のジ置換アミノ酸も縮合は困難であったが、縮合剤や縮合時間・回数の検討を行い目的のペプチドの合成を達成した。 含ホウ素蛍光標識化合物の合成並びに構造解析:蛍光強度が周辺環境に影響を受けにくい標識化合物としてBODIPY誘導体を合成し、X線結晶構造解析を行うことでその構造を明らかにした
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、平成29年度には「新規ジ置換アミノ酸の設計とその含有ペプチドの合成」および「ペプチド二次構造解析」を行う予定であった。しかしながら側鎖にグアニジノ基を2つ有するジ置換アミノ酸は、通常の固相法によるペプチド合成に用いることが困難であり、固相上でのアミノ基からグアニジノ基への変換を行うよう計画を変更したため、当初の予定より多くの新規ジ置換アミノ酸を合成することになった。すべてのペプチドが合成できてからペプチドの二次構造解析を行う予定であるため、当初の計画よりやや進行が遅れているが、各種ペプチドの合成は順次進行しており、平成30年度の実験計画である「膜透過性機能の評価」および「DDSキャリアとしての応用」の遂行に関しては大きな影響は与えないものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在合成を進めているジ置換アミノ酸を含有したペプチドの精製が完了し次第、ペプチドの二次構造評価を進める。また、種々の細胞を用いた細胞膜透過性の評価を始めとして、毒性評価や酵素安定性評価などの生化学的な評価を行うことで、DDSキャリアとしての応用の可能性も探っていく。
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