本研究の目的は実験を通じて,エスニックフードの受容において生じる,「未知の,またはなじみのない食べ物に対する恐れや嫌悪感」であるフード・ネオフォビアを緩和するのに有用なマーケティングコミュニケーションを探索的に明らかにすることである。 2年目リサーチデザインの見直し後,使用尺度,調査方法を変更してプレテスト・本調査を行った。 本研究では2つの実験を行なった。結果として,①フード・ネオフォビア傾向の高低によって引き起こされる摂食拒否は対象となる食品の外見的特徴に影響を受けること,②時間的距離により,フード・ネオフォビア傾向によって引き起こされる摂食拒否が緩和されること,が明らかになった。 本研究の理論的な貢献は,以下の2点である。①心理的距離概念を援用し,フード・ネオフォビア傾向による摂食拒否が起こりやすい状況とそうでない状況を特定したこと②フード・ネオフォビア傾向の高低による摂食意図の差と食品の外見的特徴(知覚された新奇性)の関連について検証し,既存研究の位置付けを明らかにしたことである。
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