本研究の目的は、以下の2つである。(1)CLILに基づいた指導を提案し,モデルカリキュラムを構築する。現場の教員がCLIL授業を活用するにあたり,参考にできるようなCLIL指導案集・教材集・CDを作成する。(2)(1)の成果をまとめ,近年注目されているCLILをより効果的に広めるため,小中学校の教員を対象に、自らの授業を振り返りながら,往還型で進めていく,CLILの指導法に関する教員養成プログラムモデルを構築する。 これらの目的に沿って、2017-2018の2年間で、小学校2校、中学校2校、学童保育1校(2回)、大学1校においてCLIL授業実践を行った。それぞれの学校の教員とともに、日本の伝統文化・伝統工芸に着目し、授業を通して英語と文化体験、文化遺産について学ぶことを目指した実践を重ねた。その結果、児童・生徒らは、これまであまり気に留めてこなかった身近な日本の伝統文化・伝統工芸に対する興味を持ち、また、英語でこれらを学習をすることで、児童・生徒らの英語学習に対する意欲や意識の変容も見られた。 授業実践に加えて、これまでの研究成果をまとめ、現場の教員がCLIL授業を行う際の参考になるCLIL教材集を刊行することができた(大修館書店、2019年春刊行予定)。また、教員養成として、授業実践およびCLIL教員の資質についてのインタビュー調査、小学校の授業研究の指導助言、英語研修会の講師を通して、小中学校の教員が一人でCLIL授業を行うことができるよう、往還型でサポートを行った。 2年間の研究成果として、伝統工芸・伝統文化を扱ったCLILの授業づくりのモデルを示すことができ、また、CLIL教員養成に関して、現場の教員の期待や不安を明確にし、一人で指導できるようになるための教員養成プログラムモデルを構築することができた。今後も研究を継続していきたい。
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