本研究の目的は、多肢多属性意思決定状況での、情報呈示様式による意思決定プロセスへの影響を検討し、消費者の意思決定を支援する情報の呈示様式を提案することである。平成30年度は、多属性意思決定の代表的研究方法である情報モニタリング法を用いた実験の実施と、意思決定結果を評価するためにコンジョイント分析、そして意思決定方略の同定のためのシミュレーションを実施した。 基礎実験から、属性値の表現方法と属性値の重要性の順序付けの困難さの程度によって意思決定結果が影響を受けることが示された。また、多属性意思決定状況での決定に至るまでの言語プロトコルデータを活用した、意思決定方略を導出するためのシミュレーションを実施した。シミュレーション結果から、特定の方略にみられる情報探索パターンと決定の正確性に関する指標の作成が可能であることが示された。実験とシミュレーションについて、学会発表を行った。また、属性値を白黒の2値で表現した多属性表を用い、属性と選択肢の配置様式を変数とした基礎実験結果と、上記シミュレーションとの対比から意思決定結果とその過程について評価するためのプラットフォームを作成し、現在投稿論文を作成中である。 また、多属性意思決定過程に影響を与えると想定される諸要因の検討のために、同一対象への選択経験や、温かさなどの感覚情報、そして心理的反抗、権威などの要因を用いた実験・調査結果について、論文と書籍を公刊し、国際学会などで発表を行った。
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