研究課題
本年度の研究により,以下の3つの成果が得られた。第一に,Rationale Development概念の調査により,日本の社会科教師教育への示唆を得られたことである。Rationale Development概念の研究者である,ケント州立大学のTodd. S. Hawley氏に対する聞き取り調査を通して,この概念がとりわけ教員養成期から初任期にかけての「駆け出し」教師の力量形成に重要であることが示唆された。研究の成果は,大坂・渡邉(2019)「社会科教師教育者は駆け出し教師の成長をいかに支援しうるか:米国社会科における「Rationale Development」研究に注目して」などにまとめることができた。第二に,Rationale Development概念の発展における社会科教師教育者の役割の重要性が再認識されたことである。当該の概念を意識した教師教育実践を行い,他の研究者らと交流する中で,社会科教師志望学生の成長にはそれを支える教師教育者の省察と力量形成が重要であるという示唆を得ることができた。第三に,社会科教師志望学生の成長と循環型教育システムの構築である。研究実施者は,研究期間である2017年度から2018年度の2年間に渡って,所属校の社会科教師志望学生に対する教育実践を行った。その際,2017年度の受講学生を2018年度に研究協力者として雇用し,セルフ・スタディの方法論を用いて,省察や他の学生への助言を促すメンターとしての役割を与えた。結果,当該の学生や受講生の学習意欲や授業理解が向上しただけでなく,社会科教師としての信念の形成にもポジティブな影響を与えたことが示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
広島大学教育ヴィジョン研究センター第10回研究拠点創生フォーラムにおいて,「教師から教師教育者への移行に見られる非連続と連続:日本のベテラン教師教育者の事例研究」を行った際の成果報告記事を作成した。
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http://evri.hiroshima-u.ac.jp/2697