本研究では、『古今和歌六帖』における万葉歌の位置づけに再検討を加え、当該の万葉歌が後世の物語作品や歌人にいかに享受されたかに検討を加えた。平成29年度には、藤原実方の家集に検討を加え、実方の詠歌に『古今和歌六帖』がふまえられている箇所が少なくないことを考察し、人々の和歌の教養の基盤を成すような歌集としての同集の意義を明らかにした。平成30年度には、『源氏物語』と『古今和歌六帖』の関係について検討を加え、『源氏物語』が『古今和歌六帖』に学びつつ、和歌的表現を散文に取り入れた様相を明らかにした。また並行して、『古今和歌六帖』の構成が『万葉集』の構成にいかに学び、それを取り入れているかを考察した。
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