瀬戸内方言におけるコピュラ形式の分布と変化を調べるため、藤原与一・広島方言研究所(1974)『瀬戸内海言語図巻』上下巻のデータと、通信調査の結果を比較し、言語変化の状況を実時間上の観点から考察を試みた。この結果、『瀬戸内海言語図巻』における少年層の言語地図の結果が今回の老年層を対象とした結果と一致していることが確認できた。コピュラ形式においては、見かけ時間上の変化は、実時間上の変化とほぼ一致していたといえる。また、瀬戸内海東部においては、経年変化に伴い、「ジャ」から「ヤ」への変化が著しいばかりではなく、地理的分布状況から「ヤ」が西進していく様子をとらえることができた。
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