研究課題/領域番号 |
17H07296
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研究機関 | 九州共立大学 |
研究代表者 |
大川内 夏樹 九州共立大学, 経済学部, 講師 (10802514)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | モダニズム / 日本近現代詩 / 北園克衛 / 瀧口修造 / 西脇順三郎 |
研究実績の概要 |
平成29年度に行った本研究課題における研究実績は以下の通りである。 1、日本近代文学館、国会図書館、早稲田大学図書館、北九州市立大学図書館など、各地の文学館、図書館において、瀧口修造、西脇順三郎の欧米モダニズム受容に関する書関や雑誌を閲覧し、資料を収集した。瀧口修造に関する資料については、ほぼ目標を達成した。西脇順三郎に関する資料については、平成30年度も引き続き作業を行う必要がある。 2、Bibliotheque nationale de France(フランス国会図書館)、Kunsthaus Zurich(チューリッヒ美術館)、Bibliotheque Kandinsky(カンディンスキー図書館)、University of Iowa International Dada Archive(アイオワ大学図書館・国際ダダ・アーカイブ)など、海外の図書館や資料館が公開している欧米モダニズムに関連する書籍や雑誌のデジタル化資料を利用し、瀧口修造、西脇順三郎の欧米モダニズム受容に関わる資料を収集した。現時点で必要な資料はほぼ入手できたが、平成30年度も適宜作業を行う。 3、上記1、2の作業をもとに、日本近代文学会九州支部春季大会(平成30年5月19日、鹿児島大学郡元キャンパス)での研究発表「瀧口修造「地球創造説」論―ダダ受容との関わりから」の準備を進めた。本発表は、ダダの運動の中心人物であり、のちにはシュルレアリスムの運動にも関わっていくトリスタン・ツァラとフランシス・ピカビアの作品を瀧口がいかに受容したのかという点に注目し、それが瀧口の初期を代表する詩「地球創造説」にどのように関わっているのかを明らかにしようとするものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の研究実績を平成29年度の研究計画と照らし合わせた場合、現在までの進捗状況は「やや遅れている」と考える。その理由については、以下の通りである。 平成29年度の研究計画では、まず各地の文学館、図書館で瀧口修造と西脇順三郎の欧米モダニズム受容に関する書籍や雑誌を閲覧し、資料を収集する予定であった。瀧口修造の研究に関しては目標をほぼ達成したが、西脇順三郎の研究に関しては、現時点では十分な資料が収集できているとはいえず、平成30年度も引き続き作業の必要がある。一方で、海外の図書館、資料館などが公開している書籍や雑誌のデジタル資料を利用して、瀧口、西脇の欧米モダニズム受容に関する調査を行うという点については、ほぼ計画通り進んでいると考えている。そして、上記のような方法で収集した資料を元に瀧口、西脇のモダニズム受容に関する論文を複数の学術雑誌に投稿する予定であったが、この目標は達成できなかった。この研究成果の発表に関する部分が、平成29年度の計画において最も遅れている部分であると考えている。ただし研究実績欄にも記したように、平成30年5月の日本近代文学会九州支部春季大会での研究発表をはじめとして、複数の学会発表や学術雑誌への論文投稿を予定しており、最終的には、研究成果の発表に関しても目標の達成が可能であると考えている。平成29年度に遅れが生じてしまった最も大きな原因は、瀧口、西脇の欧米モダニズム受容に関する資料の収集に必要な時間についての見通しが甘かったことにあると分析している。平成30年度は、資料収集に関する計画を部分的に見直し、より充実した調査と研究を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の研究の推進方策は、以下の通りである。 1、平成29年度に目標を達成できていない西脇順三郎の欧米モダニズム受容に関する資料を、日本近代文学館、神奈川近代文学館、国会図書館、早稲田大学図書館など、各地の文学館、図書館において収集する。2、日本近代文学会九州支部春季大会(平成30年5月19日、鹿児島大学郡元キャンパス)において、瀧口修造のダダ受容と瀧口の初期の代表作「地球創造説」との関係についての研究発表「瀧口修造「地球創造説」論―ダダ受容との関わりから」を行う。3、1の研究発表を元に、さらに調査・研究を進め、その成果をまとめた論文を『近代文学論集』(第44号、平成31年2月発行予定)に投稿する。4、日本近代文学会平成30年度秋季大会(平成30年10月予定)において、瀧口修造のフランス・シュルレアリスム受容についての研究発表を行う。5、4の研究発表を元に、さらに調査・研究を進め、その成果をまとめた論文を『日本近代文学』(第99集、平成31年11月発行予定)に投稿する。6、『跨境』(第6号、平成31年6月発行予定)等、海外で発行されている日本文学研究の学術雑誌に、西脇順三郎の欧米モダニズム受容に関する研究成果をまとめた論文を投稿する。7、1~6の作業を行うにあたり、必要に応じて、Bibliotheque nationale de France(フランス国会図書館)、Kunsthaus Zurich(チューリッヒ美術館)など、海外の図書館や資料館などが公開している雑誌や書籍のデジタル化資料の調査を行う。
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