研究課題/領域番号 |
17H07298
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
浦上 萌 久留米大学, その他部局等, 助教 (70805762)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 心的数直線 / 計数 / 幼児 / 数量概念 / 保育 / 認知発達 |
研究実績の概要 |
本年度は,申請時に予定していた通り研究を実施し,データ収集することができた。具体的にはまず,幼児期の数量概念の発達の指標となる心的数直掩の形成に関わる環境要因を明らかにするために,保育園に観察に行き,保育の中で行われている数量活動の実態について検討した。対象は4歳児と5歳児クラスで,主に保育者の子どもに対する言葉かけに着目し,榊原(2014)を参照しながら,数量に関わる言葉かけや支援の種類を観察し,どのように保育の中にそれらの支援が埋め込まれているかを検討した。現段階ではデータ収集途中であるが,数量活動に関する言葉かけは子どもに並ぶように声かけしたり,集団で順番に行う必要のあるような場面で,計数活動や数唱等に関わる声かけが多く含まれていることが分かった。 さらに,観察をさせていただいた保育者に対してインタビューも行い,保育の中でどのように意識的に数量活動を取り入れているか,またその場合,どのような数量活動を取り入れているのか,その種類に関しても確認した。4歳児後半までは数量に慣れ親しんだり,図形に興味関心を持つように環境を設定したり,声掛けをしたりすることに留まるが,それ以降になると小学校へ入学することも徐々に意識され,数量活動に関する声掛けを多くするように心がけていることや,数字が読めるか,書けるか,簡単な足し算ができるか等,小学校入学直後に学ぶ算数に直接結びつくような活動を取り入れる意識が高まることも分かってきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時に提出した通り,保育場面での数量活動の観察(研究1)を実施し,保育の中で埋め込まれた数量活動の実態を検討することができたことと,保育者に対して数量活動に関するインタビュー(研究2)を実施し,それらの活動に対する保育者の意識を調査することができたため。 また,これらの調査の基盤となる心的数直線の形成に関して,科学教育研究に掲載することができ,国際学会にて発表を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
心的数直線の発達と計数活動の関連を明らかにするために,数直線課題と計数課題を幼児(4歳~6歳)に実施する予定である。 また,平成29年度に取得した観察とインタビューデータをまとめ,国際学会等で発表し,論文執筆を進める。
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備考 |
発達心理学会認知発達理論分科会第54回例会にて発表を行った(2018年1月21日)。
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