研究課題/領域番号 |
17H07299
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
古賀 鈴依子 福岡大学, 薬学部, 助教 (20804545)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | アミノ酸 / 代謝関連アミノ酸 / メタボロミクス / 光学分割 / 多次元HPLC |
研究実績の概要 |
平成29年度は、代謝関連アミノ酸の網羅的キラルメタボローム法の第一段階として、尿素回路関連化合物であるシトルリン鏡像異性体を分析対象に選択し、三次元HPLCを用いる高選択的分析法の開発を行った。 本三次元HPLC分析法では、一次元目のモノリス型ミクロODSカラムにより、シトルリンをD体とL体の混合物として疎水性相互作用を用いて他の内在性化合物から分離する。オンラインで分取したシトルリン画分を、二次元目の陰イオン交換カラムの静電相互作用により更に分離した後、三次元目のパークル型光学分割カラムに導入して鏡像異性体の分離を行う。 一次元目の逆相分配については移動相に含まれるアセトニトリル濃度を、二次元目および三次元目の陰イオン交換分離、光学分割についてはそれぞれ移動相中の酸濃度とメタノール・アセトニトリルの組成比を変化させて分離条件を精査した。その結果、一次元目および二次元目において、共に約60分でシトルリンを他の内在性化合物から分離し、三次元目においては約40分でα=1.19の良好な光学分割を達成した。構築した三次元HPLCシステムについて定量性を検討した結果、シトルリン鏡像異性体はいずれもインジェクト量当たり10 fmolから5 pmolの範囲において相関係数0.9998以上の直線性を示した。また、標品シトルリンおよびマウス尿試料における再現性は日内・日間変動のいずれもRSD 4.0%以下であり、マウス尿試料を用いた回収率についても良好な結果が得られた。 本分析法をマウスおよびヒト尿試料へ適用した結果、夾雑成分の影響を受けることなく尿中微量シトルリン鏡像異性体の極めて良好な分析が可能であり、三次元HPLCを用いるシトルリン鏡像異性体の高選択的分析法の構築が達成された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、申請者がこれまでに開発した多次元HPLC分析法を基盤としてカラムや移動相条件の精査を行い、三次元HPLCシステムを用いる高選択的な代謝関連アミノ酸キラルメタボローム法を構築する計画であった。本年度は、代謝関連アミノ酸の網羅的キラルメタボローム法の第一段階として、尿素回路関連化合物であるシトルリンを分析対象として選択した。一次元目の逆相分配条件、二次元目の陰イオン交換分離条件、三次元目の光学分割条件の検討および生体試料を用いた条件の最適化、バリデーションを行い、三次元HPLCシステムを用いる高選択分析法の構築を達成した。他の代謝関連アミノ酸についても分離条件の検討を進めており、当初の計画通り進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、平成29年度に構築したシトルリン鏡像異性体を対象とする三次元HPLC分析システムを基盤として、他の代謝関連アミノ酸についても逆相分配、陰イオン交換および光学分割条件を検討し、生体試料中の微量代謝関連アミノ酸鏡像異性体の高選択的な分析を可能とする三次元HPLC分析システムを構築する。構築した分析法については、生体試料を用いて分析条件の最適化、バリデーションを実施し、各種疾病モデル動物およびヒト臨床検体を用いる尿・血中キラルアミノ酸メタボローム解析へと適用する予定である。
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