研究課題/領域番号 |
17H07306
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
勝俣 由里 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (70626340)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 骨芽細胞 / 細胞シート / DNA / スキャホールド / リン酸イオン |
研究実績の概要 |
【目的】顎骨再建の臨床応用には、高齢者や有病者における治癒期間の遅延や感染リスク増大などの問題点があり、骨再生治癒期間を可能な限り短くする必要性がある。我々はサケの白子より抽出したDNAを素材としたDNAスキャホールド開発し、このDNAスキャホールドは、加齢マウスの頭蓋骨欠損部において新規骨形成を亢進する新規の骨伝導性を持つことを報告した。本研究は、骨このDNAスキャホールドと共に治療用細胞を併用することで更に骨再生治癒期間の短縮をもたらすと考えた。そこで、骨芽細胞を治療用細胞として用い、細胞外基質が存在し、生体に近い細胞シートとして適用して骨再生促進効果について下顎骨欠損モデルを用いて検証することを目的とした。 【方法】マウス骨芽細胞株MC3T3-E1細胞を細胞シート作成用ディッシュ(アップセル社製)に播種する。細胞がコンフルエントになったら培地を吸引し、骨分化誘導培地にて分化誘導を行う。又、リン酸イオンの骨分化生成に及ぼす効果について検討する。 【結果と考察】マウス骨芽細胞を用い、細胞密度を変化させて細胞シートの作成を検討した。この結果、1x104 cell/cm2の播種密度で細胞シート作成ディッシュ(アップセル社製)を使用して一層の細胞シートが形成できた。さらに、このシートを層状に重ね合わせることも可能であった。さらに、骨分化過程におけるリン酸イオンの効果を検討したところ、リン酸イオンの添加により相乗的に骨分化関連分子の発現が有意に増加した。これらの結果を基礎として、来年度はまずラット下顎骨欠損部モデルを作製し、DNAスキャホールドとこの細胞シートを併用させ埋入し、経時的な骨再生効果について比較検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)骨芽細胞株を用いた細胞シートの作製や維持方法の確立、細胞シートをDNAスキャホールド表面に層状にコーティングする方法を確立する。 →骨芽細胞を用いた細胞シートの作製方法は取得できたが、細胞シートをDNAスキャホールド表面に層状にコーティングすることが困難であったため、DNAスキャホールド上に細胞シートを置き、マウスの頭蓋骨欠損モデルにおける骨化の亢進を検討している。 2)マウスを用いて頭蓋骨欠損部モデル各々の欠損部にDNAスカフォールド及び骨芽細胞の細胞シートを移植し骨形成の促進効果を検討する。さらに、既存骨補填材(コ ラーゲンやポリ乳酸)と組み合わせた場合についても比較する。 →現段階ではDNAスキャホールド単独とDNAスキャホールド+骨芽細胞シートのものの比較検討しか行えておらず、母体数を増やし、リン酸や他の材料との比較検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
自身を含めたいくつかの報告によりリン酸の存在が骨分化を促進することが明らかであるため、リン酸を添加した細胞シートも作製して、リン酸の存在で作成したシートに新規骨分化や基質形成能に差があるかどうか比較検討する。 DNAスキャホールドと骨芽細胞シートの併用方法について再度検討する。マウス頭蓋骨欠損モデルにおいても健常マウスのみでなく老化マウスや糖尿病マウス、骨粗しょう症マウスを用いた骨化亢進の速度の差について比較検討を行って行く。
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