研究課題/領域番号 |
17H07309
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研究機関 | 福岡女学院看護大学 |
研究代表者 |
西田 裕子 福岡女学院看護大学, 看護学部, 助手 (70806512)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | ナースプラクティショナー / 意志決定プロセス / 離島 / 臨床推論 / 特定行為 / 診療看護師 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、医療資源の偏在が特に著しい離島で働くナースプラクティショナー(以下、NP)の実践の現状及び判断や意思決定について調査を実施し、NPの実践に特化した意思決定モデルの構築を目指すことである。研究対象者1名に対して参加観察とインタビューを行った。 実践の現状としては、NPは、離島という限られた医療資源の中、島内でなるべく完結した治療ができるよう診療にあたっていた。具体的には、患者が住み慣れた場所で治療や療養が継続でき、病状の急変や疾患が急性憎悪しないように入院中から予防的ケアの視点で診療・看護を行っていた。また、積極的に地域に赴き島内の施設や訪問看護師等と顔の見える関係を作り、退院支援に繋げていた。さらに、緊急を要し、早急に本島での治療が必要な患者の場合は、多職種連携の要として診療を行っていた。NPの意思決定は、通常の診療指針と臨床推論を展開しながら、患者を全人的に捉え、患者特有の条件や制限から考えられる最善の治療法・看護を加味し、かつそれについて医師とディスカッションしながら診療・看護を行っていた。 今回の調査で、NPは患者をホリスティックに捉えた思考で診療・看護を展開し、かつジェネラリストとして診療科を限定せず診療・看護を実践しており、地域包括ケアを実践する上で重要な役割を担っていると考えた。さらに今後、他の研究対象者の調査を実施する予定であるため、データ収集を行いNPの意思決定プロセスを明確化していく。分析を行いながらデータの飽和状態を確認し、分析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、離島で勤務するNPは5名であったが、異動により離島で勤務するNPが4名となっていた。また、初年度に3名の対象者に調査を行う予定であったが、研究倫理審査の承認が遅れたため、1名にしか調査を実施できていない。次年度には、対象者3名に対して調査を実施する内諾は得ているため、対象者と調整しながら調査を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度と同様に文献検討及び学会等へ参加し、国内外問わずNP教育に関する動向を知るとともに、離島で勤務するNPの情報を継続的に収集する。また、調査の内諾を得ている研究対象者等の情報から他に研究対象者がいないか情報を収集し、離島で勤務するNPの状況を把握していく。該当する研究対象者がいた場合、コンタクトを取り、研究対象者が所属する医療機関の所属長及び研究対象者へ依頼文書を送付する。 平成29年度中に研究対象者3名と調査の内諾を得ているため、調査日時の調整を行い、調査を実施する。データ収集方法は、平成29年度と同様に参加観察法と半構成面接法で行う。参加観察と半構成面接のどちらも研究代表者が行う。データを収集しながら、データ分析も同時に行っていく。データ化する際は、研究補助員2名とともに行う。データの飽和状態を確認しながら、研究対象者へ協力依頼の範囲を拡大するかどうか(離島に限らず、へき地で活動するNPへも協力依頼をするかどうか)を判断する。最終的には、平成30年度10月頃までにデータ収集を終え、全てのデータ分析を終えるようにする。分析には、質的記述的方法を用い、研究経験が豊富なスーパーバイザーに指導を受けることで信用可能性を高めるとともに、研究対象者を含む複数者の解釈により真実性を確保しながら進める。 平成29年度の文献検討の結果についてまとめ、国内・国外の看護系学会で発表する。また、本研究の結果についてもまとめ、次年度の発表に向けての準備をすると同時に、論文執筆と報告書作成を行う。
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