研究課題
研究活動スタート支援
本研究は、教育(哲)学の重要概念である自律と、その構成要素とも言える責任の概念について、人間の行動や思考を進化によって実現したものととらえる哲学や人間諸科学の知見を踏まえて検討し、それらの概念に関わる教育的実践の意味をとらえ直そうとするものである。特に二重過程理論を参照することによって、自律という教育目的において、理性や意識と、感性や無意識という一見対立する諸要素が複雑に絡み合っていることを明らかにした。
教育哲学
近年の教育哲学領域における自律概念の研究は、「自律した主体」が近代的虚構であるという認識のもと、近世・近代の文献研究を中心に行われてきた。これに対して、本研究が採る進化的アプローチは、自律・責任といった近代的虚構が成立した条件を、ヒトの登場以前まで遡る進化の過程を踏まえてとらえ直そうとうするものである。本研究は、自然主義(科学的知見や科学的方法を用いながら哲学をすること)という、近年盛り上がりを見せる哲学的立場を教育哲学領域に採り入れるものとしても意義を有する。