本年度は、モバイル端末を用いて印象調査を容易に行える「印象評価WEBアンケートツール」、デザイン画像に含まれる色や形の情報を分析する「画像解析ツール」、画像解析結果を取り込んで印象分析を行える「主成分分析ツール」の開発を行った。 「印象評価WEBアンケートツール」の開発では、分析者と被験者の両方に対応し、画像を用いた印象評価アンケートを容易に作成したり実施したりできるツールが完成した。このツールは、ユーザがアップロードした画像をアンケート上でランダムに表示する機能、アンケートページをランダムで表示する機能、アンケート結果をテキスト出力する機能などの多くの機能を実装している。また、印象語セットを予め備えており、デザインの種類を選択して印象語を貼り込める。さらに、ユーザ自身で用意した印象語もアップロードできる。 「画像解析ツール」の開発では、既存の複数の画像解析方法をOpenCVを用いて試し、デザイン画像の特徴が分析しやすいものを絞り込んだ。そして、本研究では色相分析、シルエット近似、フーリエ解析を扱うことにし、これらの画像解析結果をCSVと分析画像で高速に出力されるツールを開発した。色相分析は、画像に含まれる色相や彩度、代表的な配色パターンなどが出力され、シルエット分析では、画像に含まれる(キャラクターなどの)造形の傾きや外形のサイズなどが出力され、フーリエ解析では、2次元空間周波数パワースペクトルが出力される。 「主成分分析ツール」の開発では、アンケートツールによって収集した印象評価データを主成分分析して結果を出力し、さらに「画像解析ツール」で出力された画像解析結果を読み込んで、散布図上で2種類の分析結果を統合して表示できる機能を実装した。このツールにより、主成分分析で出力された結果の意味付けを、画像解析結果と照らし合わせて行うことができ、軸解釈などで有効となる。
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