研究課題
工業系高等専門学校での技術者教育において,とりわけ理数教育は工学上の計測や分析,シミュレーション,統計解析などに関わる重要度の高い教養教育である.本研究では走幅跳における「助走」と「踏切」について,前者では二次関数近似による最適助走距離の算出,後者では斜方投射としての記録の解釈といった観点をそれぞれ学習者に与える授業を試みる.本研究は研究課題Ⅰと研究課題Ⅱにより成り立っており,本年度は主に研究課題Ⅱを中心とした実施計画であった.研究課題Ⅰ:踏切は,助走で得られた水平速度を利用して跳躍するための瞬間的動作であり,走力を,身体を斜め上方向に放つための跳力に変換する重要な局面である.画像中の特定点座標の動きを動作毎に求め,較正して,踏切前の最大水平速度,踏切時の初速,角度を導き,身体の空中動作を投射された剛体として仮定することが可能である.これにより学習者は,自己の跳躍を斜方投射とみなした上で,記録を高めるための踏切角や初速について自ら動きを改善する視点を導くことができると考えられる.すなわち,学習者には,踏切前最大水平速度と踏切時初速の差異(減速の程度)や踏切角について問題提起させ,パフォーマンス向上の可能性について考察させる.また,改善ポイントを意識した試技とその結果を踏まえ,記録に対する「踏切」の影響についての理解と関心をリフレクションシートから定性的に分析する.本研究の目的は,走幅跳の踏切について,跳躍動作がストロボ撮影された画像を用い,踏切前水平速度,踏切時の初速,踏切角を求めさせ,斜方投射を基礎とした理解の下に,改善ポイントの提案と実践を踏まえ,記録に対する踏切の影響についての学習者の理解と関心を検討する.平成30年度は研究実施計画から若干遅れての進行になった.研究成果として,研究課題Ⅰについての原著論文の投稿と課題Ⅱについての分析を行った.現在,査読中である.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Bulletin of Hokuriku Society of Physical Education, Health and Sport Sciences
巻: 54 ページ: 1-7
0913-7149