マウスの発生において、将来の卵や精子となる「生殖細胞」は胎児の中で数万個まで増える。オスではこれらの生殖細胞の一部が成体の「幹細胞」となり、幹細胞は分裂しながら生涯にわたって精子を継続的に産生する。しかし、数万個の生殖細胞の中から幹細胞が選ばれる過程はこれまで解析手法がなく理解が進んでいなかった。本研究では「遺伝子バーコーディング法」という開発されたばかりの手法を胎児の生殖細胞へ適用し、幹細胞の選択過程を1細胞レベルで成体まで追跡することを可能にした。幹細胞が選ばれる時期や規模を定量的に調べることが可能となり、精子さらには次世代の子を作り出す細胞の特性を解明するための基盤を整えた。
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