本研究では、南部アフリカの人びとの経済実践について、商売方法や利益の使い方だけでなく、その会計方法(資産価値等の計量・数値化・管理)に注意しながら、人類学的調査・研究をおこなった。具体的には、レソトに住むジンバブエ人移民の零細行商について調査した。その結果、(1)やや高めの価格で商品を掛売りにする、(2)掛け取引(だけ)は帳簿で管理する、(3)支払い遅延への罰則はとくになく、収金にかかる費用や労力は基本的に行商人の負担となる、という彼らの行商の特徴を明らかにした。今後の課題として、彼らが帳簿を限定的に使う理由と遅延損害・債務不履行の捉え方についてさらなる調査をする必要があると考える。
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