イネもみ枯細菌病は、日本だけでなく韓国、フィリピンなどの東、東南アジア、コロンビアなどの中南米やアメリカなど世界で猛威を振るっており、40%からときには80%の減収をもたらすほど甚大な被害を与える、非常に重要な病害である。さらに、日本では箱育苗の普及により苗の腐敗 (苗腐敗症) も引き起こし、移植苗の安定供給の阻害要因になっている。しかしながら、イネもみ枯細菌病菌については非常に解析されているが、植物側の抵抗性機構などについては全く報告されていない。そこで、私はイネもみ枯細菌病菌によるもみの枯死、褐変および苗腐敗症に対する抵抗性品種およびその原因となる抵抗性因子を同定することを目的としている。解析には、当研究センターにより作出したNested Association Mapping (NAM) 集団を用いた。 苗腐敗症に対して抵抗性を有する品種を同定するために、NAM親に接種実験を行い抵抗性の有無を解析した。その結果、いくつかの品種において強い抵抗性が認められた。そのため、その交配親を交配して得られた組換え近交系(RILs)に接種を行い、r-qtl解析を試みた結果、強いNAM親型のピークが認められた。現在、RNA-seq解析などを行い抵抗性因子の同定を試みている。
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