森林昆虫は多様な種が含まれる分類群であり、様々な生態的機能を発揮することにより森林生態系の維持に重要な役割を担っている。このため森林生態系保全を検討するうえで、昆虫群集のモニタリングは重要である。一方、昆虫調査では、トラップの捕獲効率が周囲の物理環境によって変わりやすく、生息密度を明らかにできないという欠点が長年指摘されてきた。本研究では集中的な野外実験にて得られたデータから、物理環境が各種の捕獲効率に及ぼす影響を検証した。本研究の結果は、物理環境が異なる地域間で昆虫相を比較する際に考慮すべき環境要因の特定に繋がり、広い地域で昆虫モニタリングを効率的に実施するための知見を提供すると考えられる。
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