パイロクロア酸化物Cd2Re2O7は常圧では室温の立方晶から低温の正方晶へ2回の構造相転移を示す。この構造相転移における原子位置の変化は非常に小さく、これまで精密に決定することができていなかった。今回の研究で、電子状態を量子振動によって直接観測し、第一原理計算を用いて観測された電子状態を再現する原子位置を同定することができた。得られた電子状態や原子位置の情報を用いれば、特異な構造相転移の起源や超伝導の性質などについて、電子状態に根ざした議論を行うことが可能になる。そのため、本研究の成果は、Cd2Re2O7におけるこれらの物性を解明するために大きく資するものである。
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