本研究では、iPS細胞(induced pluripotent stem cell:人工多能性幹細胞)から分化したiPS由来神経細胞集団に対して、電気刺激をすることで細胞集団が一時的に保持できる情報容量(=ワーキングメモリ容量とする)を評価する手法を開発することを目的とした。一般的に調べられるタンパク質や遺伝子発現、生存率や形態だけでなく、神経集団の機能を評価する手法として、神経疾患in vitroモデルを創薬基盤として利用する上で有用であると考えられる。 平成29年度に実施した研究では、高密度電極アレイ上でもマウスiPS由来神経細胞集団からの神経活動が取得できることを確認した。本年度は、昨年度に確立したマウスiPS由来神経細胞の電気活動計測系を元にして、ヒトiPS由来神経細胞を使用した電気活動計測・刺激実験を実施した。電気計測には高密度電極アレイ、マルチウェル電極アレイを使用した。(a) 販売されているヒトiPS由来神経細胞1株、また、(b) ヒトiPS細胞3株から分化させた神経細胞に対して、マルチウェル電極アレイ上で細胞培養し、神経活動を定期的に計測して発達による変化を観測した。上記すべての株で神経細胞発火、及び神経細胞集団の同期発火が生じてくることを観測した。それぞれの使用株で、電気計測・刺激実験に適した培養日数を検討した。また、(a) の細胞株を使用して、マルチウェル電極アレイ上に培養し、電気刺激を与える実験を実施した。(b)の細胞株を高密度電極アレイ上で培養し、神経細胞発火、及び神経細胞集団の同期発火が観測されることを確認した。
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