実用的な量子情報通信技術の普及へ向け、室温中で動作可能であり、かつ通信波長帯の発光波長を持つ単一光子発生源の開発が求められている。本研究で得られたカーボンナノチューブ中の励起子物性に関する知見は、室温中での励起子拡散を利用した単一光子生成メカニズムの本質的な理解につながり、それによって単一光子発生デバイスの開発に適したナノチューブの種類や架橋長さなどといった情報を得ることが可能となった。また、シリコン微小共振器と結合させることによって得られた高輝度かつ高純度な単一光子生成は、既存のシリコンフォトニクス技術とのさらなる融合により集積化・高機能化させた量子光源の実現につながることが期待される。
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