研究課題/領域番号 |
17H07373
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
角井 泰之 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 生体情報・治療システム研究部門, 助教 (30806451)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 三次元培養皮膚 / 移植・再生医療 / 光バイオモジュレーション / アデノシン三リン酸 / 細胞分化 / 光音響イメージング / 血管内皮細胞 |
研究実績の概要 |
1.光バイオモジュレーションによる三次元培養皮膚の高品質化 分化誘導期間中の三次元培養皮膚の含有ATP量を経時的に測定した結果,時間経過に伴い減少することが明らかになった。そこで,その防止策として光によるアデノシン三リン酸(ATP)増産作用(光バイオモジュレーション)を検討した。分化誘導開始5日後に中心波長830 nmのLED光を平均パワー密度 12 mW/cm2で50秒間照射した結果,非光照射群と比較し,その後の含有ATP量は有意に増大した。また,真皮層の細胞密度も有意に増大した。これらの効果は,同皮膚の移植後早期の生着・血行再開に寄与することが期待される。 2.光音響イメージング法による三次元培養皮膚中の血管構築の評価 三次元培養皮膚中の血管構築をin situで光音響イメージングするために,血管の標識方法を検討した。蛍光色素または量子ドットから成る細胞トラッキングマーカーを単層培養下の血管内皮細胞に取り込ませ,それぞれのマーカーの吸収ピーク波長で光音響波を励起し,超音波センサーで受信した。結果,光音響信号は得られたが,培養の時間経過に伴うマーカーの褪色等の影響によりSN比が低下し,イメージングに十分な計測感度が得られないことがわかった。今後,イメージング方法の再検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
三次元培養皮膚への光バイオモジュレーションについては,同組織の高品質化のために有効な光照射条件(波長,パワー密度,時間)を早々に見出すことができ,予想していたバイアビリティーの向上と細胞密度の増大が得られた。一方で,三次元培養皮膚中の血管構築の光音響イメージングでは遅れが生じており,イメージング方法の再検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
光バイオモジュレーションによる三次元培養皮膚の高品質化については,上述した今年度の成果をもとに,バイアビリティーの向上と細胞密度の増大のために,光照射条件(適用の回数やタイミング等)の最適化を図る。また,移植医療応用のために重要な分化速度やバリア機能等の向上についても,病理組織学的検査や分化マーカーの検出・解析,電気抵抗測定等により評価する。 三次元培養皮膚中の血管構築の光音響イメージングについては,血管を標識してイメージングする方法になお課題を残していることから,マーカーの再選定やイメージング方式の見直しを行いたい。
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