本研究は海外で勤務する日本人労働者を対象に、派遣地での身体活動が海外での活動終了後のメンタルヘルスに影響を与えるかどうかについて検討した。 半年間の国際貢献活動に従事する自衛隊員210名を研究対象者とした。調査は2017年~2018年の間に、海外派遣前、活動終了時に実施された。調査項目は基本属性、生活習慣、レジリエンスはタチカワレジリエンススケール、、仕事のストレスは職業性ストレ尺度を使用してデータを収集した。身体活動はIPAQを使用し、仕事、移動、余暇時間の身体活動量と座位時間を評価し、メンタルヘルスの評価にはGHQ30を使用した。 派遣中の身体活動と活動終了後のメンタルヘルスには関連がみられなかった。一方で、派遣中の身体活動量に関係なく、一日あたりの座位時間と活動終了後のメンタルヘルスとの間に正の関連が認められた。また派遣中のレジリエンスとメンタルヘルスとの間には負の関連が認められ、派遣中の仕事ストレスとメンタルヘルスとの間には正の関連が認められた。 海外派遣労働者がメンタルヘルスをより良く維持するために、レジリエンスを高めることや仕事ストレスを軽減する方略が必要であり、さらには派遣地での座位行動を減らすことが重要である可能性を示唆するものである
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