研究課題/領域番号 |
17H07384
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
羽澄 恵 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神医療政策研究部, 研究員 (00799174)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 臨床心理学 / 睡眠行動医学 / ナルコレプシー / 過眠症 |
研究実績の概要 |
ナルコレプシーをはじめとした過眠症においては、治療で眠気症状が軽減してもなお精神健康不良等の心理社会的問題が継続しやすいと指摘されている。しかし、これら問題と症状との直接的関連は見いだされておらず、他の要因についても十分検討されていないことから、当該患者の生活の質を向上させるための支援の方策は確立されていない。 本研究では、過眠症特有の体験に伴う非機能的認知が精神健康不良に関連するのではと考え、仮説検証を目的として研究を進めた。ナルコレプシー患者を対象に、まずはEDSに関連する非機能的認知の尺度を作成したうえで、非機能的認知が精神健康不良等を説明するか否かについて、クロスセクショナルデザインにて検討することとした。 当該年度では、主に尺度項目の作成および中途解析を行った。尺度項目に関しては、ナルコレプシー患者における社会生活への参加を回避する認知行動プロセスにを示した質的研究(羽澄ら, 2018)を再整理し、EDSに関連する否定的認知として3因子構造を想定し、17個の質問項目を作成した。収集済データをもとに中途解析として確認的因子分析を行ったところ、当初の仮説と同じく3因子構造が同定され、各因子におけるクロンバックのαも十分な値が得られている。また、尺度の総合得点とSF36のメンタルヘルス尺度との間に有意な相関がみられている。 まだ途中経過ではあるが、本研究によって当該患者における心理社会的問題に関連する要因が特定されれば、これらを軽減し社会参加を促す支援を構築するための足掛かりになると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画立案時に設定した目標サンプルサイズに到達していないため、本年度も引き続きデータ収集を行う予定である。 目標サンプルサイズの確保のため、当初は対象者の選択条件をナルコレプシーのみとしていたが、特発性過眠症等のナルコレプシー以外の過眠症も選択条件に含め、かわりに解析対象集団全体の解析に加え、副次解析として過眠症診断ごとの相違も検討することとした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、下記の手順で研究を進める予定である。 目標サンプルサイズに到達するよう、選択条件を拡大したうえで引き続きデータ収集をすすめる。データ収集完了後、尺度の妥当性・信頼性の検討のための解析を行い、尺度作成を完了させる。そのうえで、作成した尺度を用いて眠気症状に関連する否定的認知と精神症状の関連を検討するための解析を行い、研究論文の完成を目指す。 なお、本研究の成果を研究・臨床の現場に還元するため、国際学会等での公表および睡眠の問題に関する心理社会的支援に関する講演の実施を予定している。
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