研究課題
ナルコレプシーや特発性過眠症などの中枢性過眠症では、過眠症状だけでなく、抑うつ症状をはじめとした精神健康不良が頻繁にみられる。他の慢性疾患では、しばしば症状や疾患に対する特有の非機能的信念がこうした精神健康不良に寄与するとの指摘があることを踏まえると、ナルコレプシーや特発性過眠症においても主症状である眠気に特有の非機能的信念が存在しており、それが精神健康不良に寄与する可能性が推測された。よって、本研究では、日中の過剰な眠気(EDS)に関する非機能的認知の存在を明らかにして尺度を開発するとともに、その信念が精神健康に関連するか否かを検討することとした。ナルコレプシー患者と特発性過眠症患者に対するインタビューデータと横断調査、約2カ月のインターバルによる再検査信頼性の調査を行った。その結果、「居眠りへの拒絶感」「居眠りへの周囲の反応の懸念」「居眠りに伴う敗北感」の3因子から構成される「過眠症状に伴う非機能的信念」尺度が開発され、内容的妥当性、構造的妥当性、基準関連妥当性、既知グループ妥当性、信頼性、とも十分に担保されていた。また、抑うつ重症度、対人不安重症度、眠気重症度がそれぞれ独立して、当該尺度の得点の高さと関連していた。以上から、ナルコレプシーや特発性過眠症を有する患者においては、居眠りへの拒絶感、居眠りへの周囲の反応の懸念、居眠りに伴う敗北感といった、過眠症状に伴う特有の非機能的信念がみられること、さらにこの信念の強さが抑うつや対人不安の重症度と関連し得ることが示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Sleep medicine
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臨床心理学
巻: 18-4 ページ: 475-485