研究実績の概要 |
本年度はヒューマノイドロボットが人間に類似した身体構造を利用しながら複雑な環境を自在に移動するための全身移動行動システムの構成法を明らかにすることを目的として, 環境との干渉を回避する全身移動計画手法及び環境との接触を考慮した姿勢列を計画する接触点計画手法の開発を行い, 建設現場環境などの複雑環境におけるヒューマノイドロボットの移動性能向上を実現した. 前半はヒューマノイドロボットが狭隘環境において, 揺動の影響を考慮しつつ足配置をガイドとして全身の干渉回避動作を高速に計画する手法を開発した. 提案手法では全身の姿勢計画に比べて大幅に探索空間の小さい足配置計画を大域的に行い, 得られた足配置から重心軌道と安定性を考慮した干渉回避姿勢を逐次的に計画することで全身移動動作計画に必要な計算コストを大きく削減することに成功した. 提案手法は動力学シミュレーションと実ロボットの両方で検証され, 1歩あたり150ms以下で環境計測に基づく移動行動を計画可能であることが実験的に示された. 後半では手すりなどの接触可能な平面構造モデルを用いて環境接触を考慮した全身移動姿勢を高速に行うための移動計画システムの開発を進めた. 前半において開発した全身干渉回避移動計画における低次元の探索結果をガイドとする段階的な全身動作計画手法をヒューマノイドロボットの可達域モデルを導入することで多点接触計画に拡張し, 大域的に計画した足配置上で維持可能な手先接触領域を可達域モデルから獲得することにより環境接触を含む移動におけるキーポーズを即応的に計画可能な接触点計画手法を実現した.
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