研究課題
背景:申請者はこれまで10年間、子ども虐待現場の問題を明確にするため、グラウンデッドセオリーアプローチにより現場のニーズと知見を仮説生成してきた。その結果、“現場では同じようなリスクレベルの事例でも、ケースの特性に合わせた対応ではなく、担当者の力量や管理職の考え方によって方針が異なることのほうが多い”という仮説をデータに基づき得た。得られた仮説から、同じような失敗(連携のミス、意思決定の不十分さ、リスク査定のバイアス)で虐待死亡事例がパターンとして起きているのであれば、似たようなパターンを検出できるAIを、人間による判断の補助として借りるほうが現場支援のニーズに効率的に答えられると考えた。本研究の目的:自治体の児童相談データを元に、再発事例と未再発事例を比較し、どのような意思決定と具体的対応が、再発事例に繋がるかを予測する。方法:5年間の1自治体の児童相談所の虐待対応データから、再発事例(児相が安全と考え終結したが、2年以内に再度通告となった事例で、虐待が繰り返されリスクが高い事例と判断)になるかどうかを、①基本属性及びリスクアセスメント(数値・論理値)データによるBayese Inference及びBayesian Network、②意志決定の説明責任(テキストデータ)と基本属性及びリスクアセスメントデータ(数値・論理値)について機械学習を用いた。結果:①傷アザがある場合、保護者が攻撃的・拒否的で話ができない場合、子どもや保護者が保護を求める場合、理由不明の傷アザがある場合などが再発事例に関係していた。②クロスバリデーションの結果、テストデータの正答率は90%程度であった。期待される成果:今回の結果から、確率モデリングによる再発有無に影響する説明要因、及び再発を予測する特徴量は把握できた。今後、これらの知見をさらに活用し、現場に補助として使ってもらうAI開発へ展開する。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
山本恒雄・高岡昂太 2017年度 三重県児童相談データ分析 報告書(未公刊)
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
The Applied Human Factors and Ergonomics International
巻: N/A ページ: in press
子どもの虐待とネグレクト
巻: 19 ページ: 257-262
子ども虐待の予防とケアのすべて
巻: N/A ページ: 6051-6060