本研究は、企業の支配株主のポートフォリオと経営者のリスク選択の関係を経営者報酬という観点から分析した。株主は複数の株式を保有することができるが、そのポートフォリオの分散度には異質性が存在する。株式市場において情報が「曖昧」である場合、投資家が株式を保有しない場合が生じる。ゆえに、株主が少数の株式だけを保有するような状況が発生する。この場合、支配株主が有する企業の個別リスクに対するエクスポージャーが大きくなることにより、株主のリスク許容量が小さくなり、経営者が選択するリスク量を小さくするようなインセンティブを与える報酬契約を結ぶことが最適になる。
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