研究課題/領域番号 |
17H07423
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
永廣 卓哉 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 研究員 (70806778)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | アンモニア / 水素 / 水素キャリア / 多孔質シリカ / アパタイト |
研究実績の概要 |
アンモニアは比較的穏和な条件で液化可能であり、水素キャリアとして注目されている。アンモニアからの水素放出には固体触媒を用いたプロセスが知られているが、本研究では貴金属を含まない安価なアンモニア分解用触媒の開発に着手した。具体的にはCo及びMoを活性種、多孔質シリカを担体とする触媒を調製した。なお、触媒の細孔構造が活性に影響しうることから、ミクロポーラスシリカ及びメソポーラスシリカを調製し、担体の細孔構造が及ぼす活性への影響を検討した。上記両シリカ担体に5 wt%のCoMoを担持し、アンモニア分解活性を比較すると、比表面積が小さいにも拘らずミクロポーラスシリカを担体とした触媒の方がより高活性となった。また、アンモニア分解反応は吸熱的であるため、いずれの触媒においても反応温度の上昇に伴う分解活性の向上が見られた。 また、上記触媒の活性をさらに高めるため、これまでに検討されてこなかったカルシウムヒドロキシアパタイト(HAp)を助触媒として活用した。多孔質シリカ担体表面上でのHApの形成はゾルゲル法により試み、ラマン分光等の結果よりHAp結晶の形成が示唆された。しかし、助触媒として10 wt%のHApをシリカ担体に添加し、次いで5 wt%のCoMoを担持した触媒の活性を評価したところ、担体の細孔構造の差異に依らずHApの添加により分解活性が低下した。一方、HAp添加量を1 wt%にまで低下させると、いずれの担体においても活性の向上が確認され、HApの助触媒としての機能はその添加量に依存することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
反応装置を設置し、当初調製を予定していた触媒のアンモニア分解活性を評価することができたため。また、触媒の比表面積や助触媒の添加効果も確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
触媒の前処理条件を変更することで触媒のアンモニア分解活性の向上を図り、適切な前処理条件を明らかにする。また、触媒の比表面積等を測定し、得られた測定結果と触媒活性を関連付けた議論を行う。
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