研究課題/領域番号 |
17J00067
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
小森 亮太 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | ゴルジ体ストレス応答 / プロテオグリカン経路 / 標的遺伝子 / 転写制御配列 / 転写因子 / TFE3経路 |
研究実績の概要 |
ゴルジ体ストレス応答プロテオグリカン経路とは、ゴルジ体でプロテオグリカン型の糖鎖修飾機能が不足した際に、プロテオグリカン型糖鎖修飾酵素群の転写を増強し、機能不足状態(ストレス状態)を解消するための機構である。この機構は、センサー分子、転写因子、転写制御配列を介して活性化されると考えられている。 今年度は、ゴルジ体ストレス応答のプロテオグリカン経路における(1)標的遺伝子と転写制御配列PGSEについての論文を発表し、さらに、(2)転写制御因子の同定の研究を行った。また、(3)プロテオグリカン経路と既知のゴルジ体ストレス応答の経路の一つであるTFE3経路の関係について解析した。 (1)の標的遺伝子については、昨年度までに同定を終えていた。また、転写制御配列についても、昨年度に標的遺伝子の一つであるHS6ST1のプロモーター領域を解析し、転写制御配列PGSE-Aを同定していた。今年度はさらに、他の標的遺伝子のプロモーター領域について詳しく解析し、これらの遺伝子がHS6ST1と同様のPGSE-Aにより制御されていることを見出した。そしてこれらの内容を論文として発表した。 (2)の転写制御因子の同定については、データベースを用いた解析により転写制御配列PGSE-Aに結合する転写因子の候補を得た。そして得られた候補の転写因子について、さらに解析を進めた結果、転写因子を同定することに成功した。 また、プロテオグリカン経路の解析を進める中で、プロテオグリカン経路を活性化した際に、TFE3経路が活性化されることが示唆された。そこで、プロテオグリカン経路活性化時の、(3)プロテオグリカン経路とTFE3経路の関係について調べた。これまでの研究では、細胞にプロテオグリカン型のゴルジ体ストレスを与えた際に、転写因子TFE3が活性化して核に移行することがわかっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、ゴルジ体ストレス応答のプロテオグリカン経路の分子機構を明らかにすることを目標としている。 プロテオグリカン経路は、センサー分子、転写因子、転写制御配列を介して活性化されると考えられている。本年度は、その中で転写制御配列について解明することに成功した。そして、この結果を論文として発表することができた。この論文はプロテオグリカン経路についての世界で初となる論文であり、大きな成果であるといえる。 また転写因子についても、様々な方法を用いて検索し、最終的に転写因子を同定することに成功した。転写因子の同定は一般に極めて難しいとされており、申請時に予定していたyeast one hybrid法では転写因子の同定には至らなかったが、最終的には転写因子を同定できたので良い成果を得られたといえる。 またゴルジ体ストレス応答は、未だに未知なことが非常に多い分野であるが、その中で、プロテオグリカン経路が既知の経路であるTFE3経路と関わっていることが新たに示唆された。これはプロテオグリカン経路の分子機構の全容を明らかにする上で非常に重要なことである。さらに、この結果はプロテオグリカン経路だけでなく、ゴルジ体ストレス全体について知る上でも必要なことであり、非常に重要な結果が得られたと考えている。 以上にように、論文の刊行、転写因子の同定を行うことができ、また新たに他経路との関係も明らかになりつつあるため、順調に研究が進展していると考え、上記の評価をした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、まずゴルジ体ストレス応答のプロテオグリカン経路における転写因子についてさらなる解析を進める。転写制御配列と転写因子の結合、転写因子がどのように活性化されるのか、どのような分子が転写因子を活性化しているのか、複数の転写因子が関わっているのか、などを中心に研究を進めて行く。 また、センサー分子についての解析も進める。昨年度から準備を進めているGeCKOライブラリーを用いた方法でのスクリーニングや、上記の転写因子を活性化する分子の上流を辿ることで、センサー分子の同定を試みる。センサー分子を同定したのちは、その活性化機構についての解析を進める。 さらに、プロテオグリカン経路とTFE3経路がどのように関わっているのかについても解析を進める。また、プロテオグリカン経路とTFE3経路について調べる中で、申請時の計画にはなかったが、TFE3経路の分子機構についても解析を進める。プロテオグリカン経路とTFE3経路とが関係していることから、プロテオグリカン経路の分子機構を明らかにする上で、TFE3経路の分子機構の解明も重要な課題であると考えられる。TFE3経路に関しては、転写因子TFE3の詳しい活性化機構や、センサー分子については未だに明らかになっていないので、それらを中心に解析を進めていく。 そして、プロテオグリカン経路の転写因子、センサー分子、TFE3経路とのクロストークについての成果をまとめ、論文を執筆する。
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