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2017 年度 実績報告書

縮小ランク回帰による日本人の食事パターン抽出と抑うつ症状発症に関する職域疫学研究

研究課題

研究課題/領域番号 17J00166
研究機関東京大学

研究代表者

三木 貴子  東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2017-04-26 – 2019-03-31
キーワード抑うつ / 食事パターン / 縦断研究 / 日本人 / 縮小ランク回帰
研究実績の概要

平成29年度は、日本人労働者を対象とした縦断調査によって、縮小ランク回帰により抽出した食事パターンが、その後の抑うつ症状発症にどのような影響を及ぼすかを明らかにした。本研究では、対象疾患に関連する栄養素(応答変数)の変動をできるだけ多く説明する食品(予測変数)の線形関数、つまり食事パターンを明らかにする縮小ランク回帰により抑うつ症状に関連する栄養素に基づいた食事パターンを同定し、抑うつ症状との縦断的な関連を日本の職域集団903名において検討した。応答変数として、先行研究で抑うつ症状低下との関連が報告されている6栄養素(葉酸、ビタミンC、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、鉄)を選定した。予測変数は、簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)で評価した食品や飲料52項目とした。その結果、野菜、果物、きのこ、海藻、大豆製品、緑茶の頻回摂取で特徴づけられる食事パターンが抽出され、この食事パターンスコアの高維持群と改善群は低維持群に比べて、3年後の抑うつ症状のオッズ比が約40%低下していた。
この食事パターンは、応答変数として選定した各栄養素との相関が高く、これらの栄養素の複合効果により抑うつ症状が低下した可能性がある。これらの栄養素が脳機能の維持に働くメカニズムとして、神経伝達物質の合成や神経毒性作用のあるホモシステインの低下、活性酸素の抑制などが考えられている。この結果は、「Longitudinal adherence to a dietary pattern and risk of depressive symptoms: the Furukawa Nutrition and Health Study」として国際英文雑誌Nutritionに掲載された。本研究は日本において抑うつ症状の発症リスク低下に関連する食事パターンを同定した初めての縦断研究である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、研究課題である縮小ランク回帰による日本人の食事パターン抽出と抑うつ症状発症に関する職域疫学研究を実施し、「Longitudinal adherence to a dietary pattern and risk of depressive symptoms: the Furukawa Nutrition and Health Study」として国際英文雑誌「Nutrition」に結果が掲載されたことから判断するものである。本研究は日本において抑うつ症状の発症リスク低下に関連する食事パターンを同定した初めての縦断研究である。
本研究結果は対象事業所の要望に応じ、個人・職場へのフィードバックを行うと共に、今後国内外の学会等で発表する予定である。本縦断調査のフォローアップ調査を2018年4月に実施予定であり、事業所に向かい、調査の説明、協力の要請を行うことが決定している。

今後の研究の推進方策

平成30年度は、うつ病の予防対策として食事要因と精神健康の関連を明らかにすることを目的とし、以下の研究を実施する予定である。
1、従来の食事パターン分析(主成分分析)と比べて縮小ランク回帰による食事パターン分析の予測力が高いことを立証するため、両者の比較を行い、どちらが抑うつ症状低下と強い関連を示すか検証を進める。
2、関東地方の企業の従業員を対象に定期健康診断時に栄養、抑うつ症状、運動、ストレスに関する自記式質問紙調査、身体測定、採血、採尿を実施する。
3、食事要因と精神健康の関連を明らかにすることを目的とし論文作成を進める。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Longitudinal adherence to a dietary pattern and risk of depressive symptoms: the Furukawa Nutrition and Health Study2018

    • 著者名/発表者名
      Miki Takako、Eguchi Masafumi、Akter Shamima、Kochi Takeshi、Kuwahara Keisuke、Kashino Ikuko、Hu Huanhuan、Kabe Isamu、Kawakami Norito、Nanri Akiko、Mizoue Tetsuya
    • 雑誌名

      Nutrition

      巻: 48 ページ: 48~54

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.nut.2017.10.023

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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