研究課題
主竜類(ワニ類・恐竜類・鳥類)の繁殖方法の変遷を探るため,3つの研究テーマ(「鳥類に近縁な獣脚類恐竜の大型化と営巣行動の変化」,「恐竜類の胚の成長率の推定」,そして「多変量解析を用いた繁殖戦略の進化史推定」)に取り組んでいる.平成30年度は,一つ目のテーマを完了させ、論文発表・プレスリリースを行った.さらに残りの二つのテーマのデータ収集・解析を進めた.一つ目のテーマは,昨年度、重点的にデータ収集・解析・執筆を行った研究である.本研究では,鳥類に近縁なオヴィラプトロサウルス類恐竜に焦点を当て,巨大化と抱卵行動の関係を調査した.これまで大型恐竜は,その重い体重ゆえに抱卵できないと考えられていたが,本研究により,大型種も抱卵した可能性が示され,従来の常識を覆す発見となった.論文は2018年5月,Biology Letters誌(王立協会発行)に掲載され,プレスリリースを行った.残りの二つのテーマは,データ収集を重点的に行った.恐竜の胚(孵化前の個体)の成長率は,孵化後の親の子育て度合いにも関連する重要な形質である.恐竜胚の成長率は,これまで曖昧にしか議論されてこなかったが,本研究では,胚の骨の微細構造を用いて定量的に評価する計画である.現在,各成長段階の鳥類胚を揃え,胚骨の多孔質度を分析中である.データが蓄積されつつあり,手法を軌道に乗せることで,恐竜の胚化石に応用できる.さらに,繁殖戦略を推定する研究では,恐竜類の卵の大きさと産卵数を推定する研究を行っている.卵の大きさや産卵数は,繁殖戦略の根本となる重要な形質である.本年度は,国内外の博物館で化石種・現世種の標本調査を行った.データ収集はほぼ完了しており,現在,データの解析作業に着手している.興味深い結果が得られつつあり,近いうちの発表を期待している.
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Biology Letters
巻: 14 ページ: 20180135
10.1098/rsbl.2018.0135
日本鳥学会誌
巻: 67 ページ: 25-40
https://trios.tsukuba.ac.jp/researcher/0000004240