研究課題
ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊探索実験AXELにおいて、小型試作機の性能評価、および再結合現象の理解に向けた測定を行った。AXEL実験では、原理実証のための小型試作機として、10Lの圧力容器を用いた実験を行っている。これまで受け入れ研究者が制作してきたハードウェア・データ収集アルゴリズム・回路・解析ツールを複数人で共有できる体制を整備した。また、立ち上げたばかりの小型実験で必要不可欠な、解析・シミュレーション用のサーバーマシンのシステム構築およびメンテナンス、ガス配管の作業手順のマニュアル整備、各種モニターのデータ保存と可視化、といった環境構築をおこなった。次期試作機として設計を進めてきた180Lの圧力容器を用いた実験に向けて、実験室の整備や搬入手続きの確認、圧力容器の土台の製作・運搬、を行った。また、大型化に伴い多チャンネル読み出しのための回路開発も進めており、回路図のチェックや素子の確認なども実施した。将来の応用に向けた基礎研究として、キセノンガス中での電離電子の再結合現象について、5MeVのα線の飛跡の角度依存性とその電場依存性について調査した。電場が低い状態では、角度に依存して再結合の量が変動することを測定し、電場を上げると消えることを確認した。もし低エネルギーの原子核反跳事象で同様のことが確認されれば方向に感度を持つ暗黒物質探索に応用が可能である。この現象について系統的に調査しまとめた結果を査読付き論文誌に投稿中である。
1: 当初の計画以上に進展している
ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊探索探索実験AXELの実現に向けて、大型試作機の準備が順調に進んでいる。加えて、暗黒物質探索の応用にむけた原理検証の測定が実現し、ポジティブな結果が得られた。
ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊探索実験AXELにおいて、次期大型試作機を制作する。現在、圧力容器の内部に用いる素材のアウトガスの定量測定の必要性が分かったため、すでに所持している小型の圧力容器を流用しつつ測定系を制作する。同時に、前年度に得られた暗黒物質探索に向けた原理検証をより現実的な条件下で実施し、新しい技術を確立する。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 875 ページ: 185~192
10.1016/j.nima.2017.09.015