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2017 年度 実績報告書

不等長2本鞭毛の運動性分化を統御する新規因子の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17J00324
研究機関筑波大学

研究代表者

寺内 菜々  筑波大学, 生命環境系, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2017-04-26 – 2020-03-31
キーワード海藻 / 褐藻 / 配偶子 / 走光性 / 走化性 / 光 / 性フェロモン / リン酸化タンパク質
研究実績の概要

褐藻の遊泳細胞(遊走子・配偶子)は短い間しか運動することができない。そのため、外的環境要因をすばやく適切に感知し、生育環境に適した場所に着底することや、受精することがその後の生長に欠かせない。そこで重要な役割を果たすのが、遊泳細胞の走光性や走化性である。本研究では、走光性や性フェロモンに対する走化性を示す際に見られる雄性配偶子の不等長2本鞭毛の運動性の違いに着目し、これを制御する分子機構、シグナル経路を明らかにすることを目的としている。本年度は、フィールドに存在する褐藻ムチモ配偶体を採集し単藻培養化し、生化学的解析を目的に大量培養を試みた。本種はゲノムが解読されていないことから、プロテオミクス解析に必要な配列情報を得るため、ムチモ雌雄配偶子からmRNAを抽出しトランスクリプトーム解析を行った。その結果、鞭毛関連タンパク質のmRNAが多数検出されたことから、鞭毛関連タンパク質を同定するための質量分析レファレンスデータベースとして利用できることがわかった。さらに、ホスホジエステラーゼの阻害剤であるテオフィリンを用いた実験から、細胞内cAMP、cGMPはムチモ雄性配偶子の走化性に重要な役割を果たすことが明らかになった。また、テオフィリンを加えた際の細胞内cAMP、cGMPの変化を測定すると、細胞内cAMPが有意に上昇することが明らかになった。走化性だけでなく走光性に関わるタンパク質のリン酸化についても明らかにするために、様々な条件(光有り・無し、性フェロモン有り・無し、テオフィリン有り・無し)で、cAMP依存性プロテインキナーゼによりリン酸化されたタンパク質を標識する抗体を用いて、ウェスタンブロッティングを行った。その結果、それぞれの条件でタンパク質のリン酸化レベルが異なることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画では、褐藻シオミドロ・マコンブを研究材料として解析を進める予定であったが、研究中に、褐藻シオミドロ・マコンブ以上に褐藻ムチモでは配偶子を効率的かつ多量に採取できることがわかった。そのため、褐藻ムチモについて配偶子を回収するための培養条件を確立した。この条件を利用し、配偶子を回収しトランスクリプトーム解析や阻害剤を用いた生理学的実験を行うことができた。さらに、タンパク質同定までは至らなかったが、走光性や走化性に関与する可能性が高いリン酸化タンパク質を検出することができた。

今後の研究の推進方策

走化性や走光性に関与するリン酸化タンパク質を同定するには、さらに多くの配偶子が必要であることがわかった。今後は、培養株に加えて、フィールドサンプルも利用することで、より多くの配偶子を回収して実験に用いる。また、同定されたタンパク質について抗体を作製し、局在及び機能解析に使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 褐藻遊走細胞の走化性・走光性研究の新展開2018

    • 著者名/発表者名
      木ノ下菜々
    • 雑誌名

      藻類

      巻: 66 ページ: 27-31

  • [学会発表] 性フェロモンによる褐藻ムチモ雄性配偶子の正から負の走光性への転換2018

    • 著者名/発表者名
      木ノ下菜々, 柴小菊, 梅澤大樹, 本村泰三, 稲葉一男
    • 学会等名
      日本藻類学会
  • [学会発表] Effect of sex pheromone on the sign of phototaxis in brown algal male gametes2017

    • 著者名/発表者名
      Nana Kinoshita, Kogiku Shiba, Taiki Umezawa, Kazuo Inaba, Taizo Motomura
    • 学会等名
      International phycological congress
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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