研究課題
研究1年目は、高濃度アンモニア態窒素を含有する培地を基質とした光照射の効果について、最適な光照射条件を検討した。その結果をもとにして、研究2年目である本年度は将来のトータルシステムを構築するために、光メタン発酵の最適光照射条件を定量化し、光量子を用いた高アンモニア態窒素含有の有機性廃棄物の嫌気性発酵循環システムを開発された。高濃度アンモニア態窒素含有の培地を基質とした光メタン発酵について、光量子を用いた光照射条件を定量化するために以下の3点を軸として研究を遂行した。(1)光量子がアンモニア阻害条件における光メタン発酵の阻害軽減効果へ及ぼす影響についての探索(2)高濃度アンモニア態窒素を含有する培地を基質とした光メタン発酵における光量子が微生物活性への影響についての検討(3)トータルシステムを構築するために光量子を用いた光メタン発酵が異なる高濃度アンモニア態窒素条件下での運営効果とスケールアップ効果の確認。以上の研究内容により、最適な光量子で照射を行うことで、メタン発酵のアンモニア阻害の軽減を実現できることが明らかになった。光照射条件を最適化することで、リアクター内の微生物、特にメタン菌の活性化が促進され、高アンモニア条件においてもメタン発酵効率を向上させることができた。現在までの研究結果から、メタン発酵の最適光照射条件の定量化され、将来のトータルシステムを構築するため、光量子を用いた高アンモニア態窒素含有の有機性廃棄物の嫌気性発酵循環システム構築が期待できると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
平成30年度は、「太陽光を利用したアンモニア阻害軽減ための光メタン発酵システムの開発」を目指して、光強度と光照射時間のインテグレーションである最適光量子範囲の概念を光メタン発酵システムに導入した。(1) 光量子のアンモニア阻害軽減効果への影響、(2)光量子が微生物活性への影響、(3)光量子を用いた光メタン発酵システムの運転効果の確認の研究を進め、最適光量子範囲を突き止めた。それを用いて、高濃度アンモニア態窒素条件下での光メタン発酵システムの運転条件の最適化を行った。予定通りに、関連パラメータのデータを収集し、将来の実用化向け検証した結果、明らかなアンモニア阻害軽減効果が得られた。本年度では学会発表、論文発表による研究成果の公表も活発に行い、第一作者としての論文1報、共著者として2報を国際誌に登載され、関連テーマの学会発表を4回行い、研究成果を積極的社会へ発信した。
2019年度は、2018年度に得られた結果をもとに、異なる光源を使うことにより、光源の光波長は微生物への影響について検討し、メカニズムの解明を行う。高濃度アンモニア態窒素含有の培地を基質とした光メタン発酵において、アンモニア濃度、リアク ターのガス濃度、ガス生成量、pH、アンモニア性窒素の濃度変化、TOCの除去率、微生物の活性など発酵に関わる各項目の検討を行う。 さらに、今までに開発した要素技術を統合させ、最適化を図る。最適化は、従来法の5-7倍のアンモニア耐性を持つ技術の確立を目標とし、各要素技術のエネルギー効率、環境負荷、経済的・社会的効果についての検討を行う。高効率バイオガス生産の全体システムに対しての総合評価は最も重要であるので、ここで運転条件やパラメータなどのデータの収集、システム全体のエネルギー収支などを解析し、実証化のための設計データを得る。博士論文をまとめ、システム評価に関する研究内容を国際誌に投稿する。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 5件)
Process Biochemistry
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
https://doi.org/10.1016/j.procbio.2019.03.001
Environmental Pollution
巻: 247 ページ: 847~856
https://doi.org/10.1016/j.envpol.2019.01.082
Materials Science and Engineering