研究実績の概要 |
快楽財/機能財の経済価値判断が共通した脳領域で行われていることを明らかにする.快楽 財とは, 感情面(楽しさ等)を理由に購買する商品である. 一方で, 機能財とは機能面 (有用性等)を理由に購買する商品である. しかしながら, 快楽財/機能財の経済価値判 断が共通した脳領域かはわかっていない. 昨年度は, 東北大学加齢医学研究所ブレインイメージング棟にてfMRI実験を実施した. そして, データ解析を行い, 楽しいから買う快楽財と役に立つから買う機能財は, 共通した脳領域で処理されていることがわかった. この成果を日本消費者行動研究学会にて発表した。 本年度は, 解析をより進めて, 報酬に敏感な人ほど自動的に快楽財の価値を処理しているという新たな知見を得た. 現在は論文を投稿中である. この成果を用いてアウトリーチ活動も行った.日本心理学会主催の消費者の心理をさぐる、という一般向けシンポジウムで、脳科学による消費者行動研究についてレクチャーをした. 約300名の方が参加され, 普段交流が少ないアカデミア以外の方と質疑を交わすことができた. また, 購買意向とは異なる別の経済的価値(シェア行動)についての神経基盤をさぐる研究(脳データからシェア行動を予測する)も行った. 行政・医療機関・企業では, 広告をシェアしてもらい, 多くの人に広告を見てもらうことが必要である。多くシェアしてもらうことで, 実際にキャンペーンを見ていない人にまで, 情報を伝えることができる。しかしながら, シェア行動が脳データから予測できるかはわかっていなかった。本研究では, 他者の心情を推測する脳領域の活動から, 多くの人にシェアされる広告が予測できることを明らかにした. いくつか学会発表を行い, 今年度中には投稿を予定している.
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