研究課題/領域番号 |
17J00444
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
楊 起中 大阪大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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キーワード | RoHS / REACH / Innovation / Productivity / Porter Hypothesis |
研究実績の概要 |
本研究の目的は製品環境規制への対応が企業の一連の活動へ与える影響を解析することである。分析では以下の仮説を検証する。<分析1> 弱いポーター仮説:環境規制は技術革新を促す;<分析2>強いポーター仮説:環境規制に促された技術革新は生産性の向上をもたらす。その後に<分析3>で製品環境規制への対応と企業の輸出との関連性を検証する。 <分析1>と<分析2>についてはテーマの関連性が非常に高いことから同時期に研究を行った。研究結果は学会で報告して、頂いたコメントを参考に推定方法の推敲を行なった。例えば、これまではマレーシアとベトナムの企業データをプールして回帰分析を行っていたが、キー変数に対して国ダミーとの交差項目を加えた結果、製品環境規制が企業のイノベーションに与える影響が両国で異なることが判明した。製品環境規制への対応が内生性を持つことが懸念されていたが、企業が規制に対応する時間とデータの作成時期を考察し、さらに規制対応の変数に対して内生性テストを行ったことにより、分析結果へのバイアスをある程度排除できた。また、キー変数の欠損値が選択バイアスを及ぼしている可能性を考慮し、ヘックマンの2段階推定手法を用いた上で、欠損値をゼロに置き換えて分析結果の頑健性チェックも行った。 <分析3>については主に今後の研究で分析する予定だが、<分析1,2>の段階においても若干触れてられている。先の分析では、製品環境規制への対応が企業の輸出単価への影響を分析しており、多項選択モデルにより輸出単価の変化の有無に対して製品環境規制の影響があるかどうかを見た。ただ、輸出単価の変化は規制対応以外の諸要因も関わっているため、コントロール変数を増やしてより詳細な分析が求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究について、当初の計画に沿って製品環境規制が企業の研究開発および生産性に与える影響について実証分析を行った。また、研究結果を日本国際経済学会春季大会および7th EAAERE年次大会において研究成果の口頭発表をして、頂いたコメントを参考に分析手法を推敲した。本研究はディスカッションペーパーで投稿を行った上でレフリー学術誌のレビュー段階にある。これらの過程は当初の計画に則ったものであるため、順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、本研究をまとめた論文は査読学術誌へ投稿されたが、現時点においてまだ査読中である。また、製品環境規制と企業の輸出に関する今後の研究に向けての明確な研究手法が確立されておらず、データ内で明示的に与えられていない企業の輸出状況について適切な尺度の引用・作成が必要である。引き続き、製品環境規制と企業活動に関するより具体的な研究が進める所存である。
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