研究課題
今年度は、前年度に行った成果を、主著・責任著者として論文2編を国際誌に発表出来た。1編は、騒音は注意力散漫・忌避の影響を介してエゾアカガエル雌の音走性(雄の声に向かう行動)を阻害し、この悪影響は騒音へ長期間暴露されても消えないことを室内実験により示した研究で、Functional Ecology誌に掲載された。もう1編は、都市に生息するニホンアマガエルは、路上で騒音に晒されると夜間の移動分散スピードが遅くなることを示した研究で、Global Ecology and Conservation誌に掲載された。さらに、複数分類群を対象とした野外での交通騒音の大規模プレイバック実験により、騒音の直接的な影響は低次動物(バッタ類)よりも高次動物(鳥類)で顕著なこと、騒音は聴覚を持つ分類群(鳥類・バッタ類)に直接影響するだけでなく、種間相互作用を介して聴覚を持たない生物(トンボ類)にまで影響することを示した論文をまとめ、国際誌に投稿した。また、過年度のデータを議論・解析し論文にまとめるにあたり、California Polytechnic State大学を訪問した。また、夏季には、過年度の結果を発展させる形で、騒音が鳥類の個体数(≒捕食圧)を変える結果として、バッタ類の食性が変わるのかどうかを調べた。具体的には、8~9月に過年度に確立したプレイバックシステムを用いて、騒音の再生前後で鳥類の密度を調べ、同時に多数のバッタ類の糞を採集した。バッタ糞については、現在までDNAメタバーコンディング技術を用いて、採集した糞から食性メニューを調べる手法を確立できた。今後は、詳細な解析を進めるとともに、バッタの食性への騒音の直接的な影響と捕食圧の変化を介した間接的な影響を明確に区別できる実験システムの構築を目指し、さらなる検証を進めていく予定である。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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