異常拡散をともなう非線形放物型方程式における特異性を保持する解の分類と構成を主たるテーマとして研究を進めた.菅徹氏(東京工業大学)との共同研究により藤田型方程式と呼ばれる半線形熱方程式について非線形項の指数がある値よりも小さい場合を扱い,時間依存して動く一点において特異性を保持するような解が存在するためのシャープな条件を求めた.この結果はすでに国際論文雑誌に受理され,掲載されている. また,山本光氏(東京理科大学)との共同研究により吸収項付き半線形熱方程式に対して時間依存して変形・移動する部分多様体上に特異性を保持する解が存在するための条件を考察した.結果として非線形項の指数がある値以上の場合には非負の特異解が存在せず,その値未満の場合には2種類の正値特異解が存在するということを明らかにした.この結果を論文としてまとめ,現在国際論文雑誌に投稿中である. さらに,Khin Phyu Phyu Htoo氏(Mandalay University)と柳田英二教授(東京工業大学)との共同研究により,藤田型方程式に対しても指数の範囲に制限を加えることにより動く部分多様体上に特異性を保持する解を構成した.この結果は論文としてまとめ,国際論文雑誌に投稿した.現在は査読者の指示に従って修正中である. 加えて,スロバキアに渡航し,Marek Fila教授(Comenius University)と柳田英二教授(東京工業大学)との多孔媒質方程式や急速拡散方程式に対する特異解の存在についての共同研究を進めた.現在は結果をまとめ,論文として投稿するための推敲中である.
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