本研究課題は、25S rRNAに変異を持つリボソームの分解機構25S NRDに着目した解析を行うことで、真核生物におけるリボソームの分解経路とその制御機構を明らかにすることを目的としている。本年度は、分解中間体に含まれるrRNAについての解析を行った (1)。また、rRNAの分解に関与するRNaseについて、ドメインの解析を行った (2)。 (1) 分解中間体に含まれるrRNAについての解析 昨年度に確立した機能不全リボソーム分解中間体の精製法を利用して、プロテアソーム作用前後の60S画分に存在する機能不全リボソーム分解中間体を精製し、これらに含まれるrRNAについて、リアルタイムqRT-PCRを用いた解析を行った。その結果、プロテアソーム作用前後の分解中間体は、どちらも5.8S rRNAと5S rRNAを保有していることが明らかとなった。この結果から、プロテアソームによるタンパク質の分解の後に5.8S rRNAと5S rRNAが分解もしくは除去されることが示唆された。 (2) rRNAの分解に関与するRNaseのドメイン解析 機能不全リボソームの25S rRNAの分解に関与すると予想されるRNaseについて、酵素活性部位に点変異を持つタンパク質を発現する出芽酵母株を作出し、機能不全リボソームの25S rRNA分解に与える影響を調査した。その結果、解析したタンパク質が持つ酵素活性が機能不全リボソームの25S rRNA分解に必須であることが明らかとなった。
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