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2018 年度 実績報告書

生態系アセスメント理論構築のための数理的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17J00945
研究機関沖縄科学技術大学院大学

研究代表者

高科 直  沖縄科学技術大学院大学, 生物多様性・複雑性研究ユニット, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2017-04-26 – 2020-03-31
キーワード生態系アセスメント / 数理モデル / 生態系
研究実績の概要

生態学的アセスメントが直面する時間や予算の制約のもとで,どれだけ効率的なアセスメントができるか,という問いに答えるための理論的研究を行なった。この目的のため,ある種の個体群分布,アセスメントの結果として得られる在・不在地図の解像度やサンプリングのルート,個体を検知する際の成功率などを扱う空間明示的な数理モデルを構築した。これらのパラメータが与えられた際に,アセスメントにより得られる在・不在地図の精度を,地図が含む第二種過誤の期待値により評価した。またアセスメントにかかる期待時間を求め,これらの関係を用いてアセスメントの制約と精度のトレードオフを明らかにした。この研究は現在論文としてまとめている段階にあり採用第3年目の期間中に研究論文として学術雑誌に投稿する予定である。
また,採用第1年目に構築した生態系モデルの補完的な位置付けとしての役割を担うspecies range size frequency distributions(RSFD)がどのような生態学的要因により決まるかを議論するための理論モデルを構築した。数理モデル上で,それぞれの種にあるサイズをもつ分布領域を定義し,それらがある一定の割合で拡大・縮小するか,また種分化により分布領域が二つに分裂し,種数が増えるというような数理モデル,gain-loss-allopatric speciation processを構築した。このモデルは,分布領域の拡大・縮小率が同程度の場合,なおかつ種分化率のオーダーが拡大・縮小率に比べて相対的に大きく異ならない場合(0.0001倍ほど)の時に,観測データが示すような対数スケール状で左に歪んだ正規分布のようなspecies-range size分布が得られることがわかった。この成果は本年度の日本生態学会において発表した。また,研究成果は論文としてまとめられており,現在投稿中の状況にある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

生態系アセスメントを効率的に行うための理論的フレームワークを構築し,アセスメントのデザインを決める際の意思決定において中心的役割を担うトレードオフを明らかにした。研究成果は現在研究論文としてまとめているところで,採用第3年目の期間中に研究論文として学術雑誌に投稿する予定である。

今後の研究の推進方策

本年度の研究で議論している生態系アセスメントの結果は固体の在・不在情報を記述する地図により表現されているが,個体数の空間的な分布などを考慮できるようなモデルへの拡張の可能性を議論する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] カンタベリー大学(ニュージーランド)

    • 国名
      ニュージーランド
    • 外国機関名
      カンタベリー大学
  • [雑誌論文] A geometric approach to scaling individual distributions to macroecological patterns2019

    • 著者名/発表者名
      Takashina Nao、Kusumoto Buntarou、Kubota Yasuhiro、Economo Evan P.
    • 雑誌名

      Journal of Theoretical Biology

      巻: 461 ページ: 170~188

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.jtbi.2018.10.030

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Spatially explicit approach to estimation of total population abundance in field surveys2018

    • 著者名/発表者名
      Takashina Nao、Kusumoto Buntarou、Beger Maria、Rathnayake Suren、Possingham Hugh P.
    • 雑誌名

      Journal of Theoretical Biology

      巻: 453 ページ: 88~95

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.jtbi.2018.05.013

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] How can the distribution of geographic range size be explained?2019

    • 著者名/発表者名
      Nao Takashina
    • 学会等名
      第66回日本生態学会
  • [学会発表] A geometric model to explore multiple macroecological patterns across scales2018

    • 著者名/発表者名
      Nao Takashina
    • 学会等名
      2018 Annual Meeting of the Society for Mathematical Biology & the Japanese Society for Mathematical Biology
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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