研究課題/領域番号 |
17J01405
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小崎 恵生 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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キーワード | 慢性腎臓病 / 尿中L型脂肪酸結合蛋白 / アルドステロン / 尿細管間質障害 / 定期的な運動 |
研究実績の概要 |
日常における身体不活動は慢性腎臓病(CKD: chronic kidney disease)発症の独立した危険因子であることが報告されている。このことから定期的な運動はCKDの予防策として期待されている。しかし、これまでに定期的な運動によるCKD予防に関する科学的なエビデンスは十分に蓄積されていない。そこで、本研究では、腎内微小循環動態の悪化を反映できる新しいバイオマーカーである尿中L型脂肪酸結合蛋白(L-FABP: liver-type fatty acid binding protein)に着目して中高齢期のCKD病態(腎内微小循環動態の悪化)を再現したマウスモデルを作成し、定期的な運動が尿中L-FABP値および腎組織障害に及ぼす影響を明らかにすることを目的として研究を行ってきた。中高齢期のCKD病態は,主に動脈硬化および高血圧を合併した腎内微小循環動態の悪化に起因する。したがって、本年度においては、まず、ヒトL-FABP遺伝子導入マウスにアルドステロンを充填した浸透圧ポンプを皮下に埋め込んで連続的にアルドステロンを全身投与し、中高齢期のCKD病態を再現したマウス(アルドステロン投与)モデルを作製した。次いで、モデル作製中に、通常飼育する群、回転輪による自発走運動を併用して飼育する群に分けを行い、各群ともに8週間の飼育後、採尿を行って、尿中L-FABP値(ELISA法)を測定し、採取した腎組織を用いて、尿細管間質障害を一般形態学的評価で確認した。その結果、尿中ヒト L-FABP値は、アルドステロン群に比べて運動+アルドステロン群において有意に低値を示し、尿細管間質障害の程度もまたアルドステロン群に比べて運動+アルドステロン群で有意に軽減していた。これらの研究成果は、国内学会にて発表を行い、現在は論文を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画では、「中高齢期CKDモデルマウスの作成と中高齢期CKDモデル(アルドステロン投与)マウスにおける定期的運動が腎内微小循環に及ぼす影響」を検討することを計画しており、実際に、それらを実施してデータ解析を行った。得られた研究成果は国内学会にて発表を行い、現在は論文を作成中である。これらのことから、期待通り研究が進展したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は最終年度として、中高齢期CKDモデルマウスにおける定期的な運動が腎保護的に作用する分子機序の解明およびその他の腎組織障害に及ぼす影響について検討を行う予定である。そこで得られた結果を含めて、これまでの研究成果をまとめて論文投稿および学会発表を行う予定である。
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