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2019 年度 実績報告書

発話の共有に関する言語的社会化研究―カメルーン狩猟採集社会子ども-大人間相互行為

研究課題

研究課題/領域番号 17J01622
研究機関大阪大学

研究代表者

園田 浩司  大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2017-04-26 – 2020-03-31
キーワード責任主体 / 教示者 / 学習者 / 関係 / 言語社会化
研究実績の概要

本研究では、カメルーンの狩猟採集民バカの子ども―大人間相互行為に見られる「発話共有」現象(聞き手が話し手の発話の一部または全体をくりかえす現象)に注目し、バカの子どもの言語社会化過程を描き出すことを目的としてきた。
バカの子どもの社会化過程には、彼らの独立性や主体性を後押しし、自らの責任にもとづき行為・発言をすることを達成点とする従来の社会化とは別の過程が組み込まれているのではないかとする仮説を立てた。その仮説の実証には至らなかったものの、多様な文脈における「くりかえし」発話の分析結果から、むしろ子どもの話者としての主体性が強く主張されないような仕方で、彼らの発話がくりかえされるという言語環境の特徴が見られた。具体的には発話者としての子どもの主体性が、大人などの周囲によって過度に引き立たせるわけではなく(例えば引用符を用いて子どもの発話として切り出す、など)、またくりかえす大人も自らの発話者としての主体性を強調するやりとりをあまり生起させないといった点であった。
子どもは大人をはじめとする周囲と共に生業活動や家事仕事に従事する中で、知識、技能を身に付けるが、両者は「教え―教えられる」あるいは「大人―子ども」という限定的な関係へと互いをつなぎとめられるわけではなく、多様で重層的な関係を形成していた。バカの子ども―大人間相互行為に見られる「発話共有」は、こうした重層的な関係の形成に一役買っている。
「個人の自律」や「対等性」といった狩猟採集社会と強い結びつきのあるこれらの規範が、子ども―大人間相互行為に実際にどのように埋め込まれているのか、またそうしたやりとりから子どもは何を経験しているのか。本研究ではくりかえしをめぐる相互行為に着目することで、これらの規範を獲得しようとする彼らの社会化過程の一側面を捉えることができたといえる。

現在までの達成度 (段落)

令和元年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和元年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ‘You all go to check there’: Egalitarian directive use by Baka children during group hunting2020

    • 著者名/発表者名
      Sonoda, Koji
    • 雑誌名

      Research on Children and Social Interaction

      巻: ― ページ: ―

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 教室にフィールドが立ち上がる ─アフリカ狩猟採集社会を題材とする演劇手法を用いたワークショップ2020

    • 著者名/発表者名
      飯塚宜子、園田浩司、田中文菜、大石高典
    • 雑誌名

      文化人類学

      巻: ー ページ: ー

    • 査読あり
  • [雑誌論文] やがて手離す言葉をめぐる言語社会化2019

    • 著者名/発表者名
      園田 浩司
    • 雑誌名

      文化人類学

      巻: 84 ページ: 243~261

    • DOI

      https://doi.org/10.14890/jjcanth.84.3_243

    • 査読あり
  • [学会発表] 「年長者は誰か」を問うバカの子ども達―成員カテゴリー化分析による社会関係の一考察2020

    • 著者名/発表者名
      園田浩司
    • 学会等名
      日本文化人類学会
  • [学会発表] 民族誌資料の手触り―アフリカ狩猟採集社会を題材にした演劇的手法を用いたワークショップ2019

    • 著者名/発表者名
      飯塚宜子、園田浩司
    • 学会等名
      日本国際理解教育学会
  • [学会発表] 子どもの知識開示に応答する大人のくりかえし発話―カメルーン狩猟採集社会バカの子どもの学習場面―2019

    • 著者名/発表者名
      園田浩司
    • 学会等名
      第10回景観形成の自然誌コロキアム
  • [学会発表] 人類学の知を子どもと共有するために―狩猟採集民バカに学ぶワークショップを通して2019

    • 著者名/発表者名
      飯塚宜子、田中文菜、園田浩司、大石高典
    • 学会等名
      日本環境教育学会
  • [図書] アフリカの森の女たち2020

    • 著者名/発表者名
      ボニー・ヒューレット、服部志帆、大石高典、戸田美佳子
    • 総ページ数
      420
    • 出版者
      春風社
    • ISBN
      9784861106828

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公開日: 2021-01-27  

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