現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題(1) 積層脂質膜における物質浸透については、予め予定していたように初年度のうちに論文の投稿から出版まで至った[T. Hoshino, S. Komura, and D. Andelman, Permeation through a lamellar stack of lipid mixtures, Europhysics Letters 120, 18004 (7pp) (2017)]。なお、本研究はテルアビブ大学(イスラエル)のDavid Andelman教授との共同研究で行った。論文を執筆した際は、シミュレーションで変化させたパラメータと物質の浸透性との間の関係に注意した。また、共同研究者との論文校正を十分行うことで、論文の質を最大限高めてから投稿した。これによって、論文投稿から修正の作業が短時間で終了した。また、論文の作成などが順調だったため、国際学会での発表なども複数回行うことができたことも、成果としてあげられる。
課題(2) 皮膚ガンのパターン形成については、想定していた研究の進捗に概ね達成していると考えている。モデルの構築は想定していた時間より多くなった。これは、モデルを一旦構築してから台湾の共同研究者であるWu教授との打ち合わせを行ったことに起因する。はじめガンの増殖率で用いていた式は、ガンが少ないところでも大きく増殖するモデルとなっていた。しかし現実の皮膚ガンでは、紫外線などでガンが発生してもすぐにはガンは増殖せず、ある程度の量になってから大きく増殖する。このような効果を共同研究者との議論によって導入してからは、シミュレーションや結果のまとめは順調に進んでいる。
|