研究実績の概要 |
大腸菌ATCC31882株由来の代謝改変株(CFT5株)を用い,3つの経路(Pathway 1,2,3)のMA生産経路の比較検討を行った.Pathway 1及びPathway 3を導入した菌株CFT51a及びCFT53aは,培養72時間でそれぞれ1.00 ± 0.11 g/L ,1.34 ± 0.07 g/LのMAを生産した.Pathwya 2を導入したCFT52aは72時間時点では検出されなかった. MAを生産したPathway 1,3を更に強化するため,より上流の反応を触媒するAroC,AroDを,それぞれ過剰発現させた.CFT51b及びCFT53bにAroC及びAroDを過剰発現させた株をそれぞれCFT51b, CFT53bとし,発酵試験を行った.その結果CFT51bが 培養72時間で1.59 ± 0.10 g/LのMAを生産したが,CFT53bはMAが検出されなかった. 更に、代謝の分岐点となると考えられる化合物に関わる酵素を,融合酵素として発現させることでMA生産量の向上を目指した.Pathway 1では,コリスミ酸が副生成物への分岐点であると仮定し,AroCとMenFをリンカー((GGGGS)3 Linker)を用いて融合し,発現させた.またPathway 3ではデヒドロシキミ酸(DHS)が分岐点であると仮定し,AroDとAroZを同様に融合発現させた.CFT51b及びCFT53bにさらに上記の融合酵素をそれぞれ発現させた株をCFT51c,CFT53cとし,発酵試験を行った.その結果CFT51c及びCFT53cが,それぞれ3.45 ± 0.04 g/L ,1.20 ± 0.10 g/LのMAを生産した. 更にCFT51cにおいて培養24時間後にCaCO3を添加する,pH調整培養にて発酵試験を行ったところ,4.45 ± 0.12 g/LにMA生産量が向上した.
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