研究実績の概要 |
集積回路の高性能化,小型化とともに,無線通信システム受信端末のチップ内での有害な電磁干渉が深刻な問題となっている.本研究は磁性薄膜を用いて,チップの上にカーバーすることにより,高周波数帯域の電磁ノイズを抑制することを目的としている. 透磁率および抵抗率それぞれ異なる磁性薄膜(CoZrNb, PdCo-CaF, NiFe)をスパッタリングに基づき作成した.三種類の磁性薄膜をそれぞれマイクロストリープラインの上に配置して,空間的な磁気シールド効果および線内の伝導損失を同時に測った.特定の周波数に現れた磁気シールド効果の極大は磁性薄膜の渦電流と強磁性共鳴の両方が寄与することにより,大きな磁気シールド効果を与えることがわかった.従って,高い透磁率は良いシールド効果および低いクロストークに寄与し,低い抵抗率が高い伝導損失を得られることが分かった.実測結果と解析結果がよく一致したことから、妥当性の高いものといえる. また,二本の平行している信号線を設計して,磁性薄膜のクロストーク影響を評価した.CoZrNb, PdCo-CaF, NiFe三種類の磁性膜をそれぞれ平行している信号線の上に乗せて、反射と透過係数以外で、近端及び遠端クロストークを測定した。その結果、磁性膜は強磁性共鳴の性質を用いて、特定の周波数でクロストークを抑制することが分かった。CoZrNbおよびNiFeどういう高い比透磁率を用いた磁性膜はより良い抑制効果が得られる。その同時に、クロストーク抑制のメカニズムを検討するため、シミュレーターの基づいて同じモデルを作成して、三次元電磁解析を行った。クロストーク抑制の周波数は磁性膜のシフトした強磁性共鳴が原因と考えている。
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